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2009年02月23日

謎解き? 『今晩屋』 その五

  [miss M.]

そうこうしているうちに2月23日となりました。
本項主題の中島みゆき嬢、うん十ン回目のハッピー・バースデーです。

DSC_0197.jpg
 これも手ブレが;;
"夜会VOL.15~夜物語~「元祖・今晩屋」"の謎解き(!?)です。
解けるもんなら解いてみろ~って声が聞こえてきそうな程に、
入り組んだ謎が仕込まれている気もします。

でも、観ていない人には何のこっちゃ、な駄文ですね。きっと。

▽ 第2幕 前編(多分) ▽

第2幕

 第1場

 第2幕は水の底から始まります。水族館の水の中、なのでしょうか。
 なにより目を惹くのは天上から吊り下げられたたくさんの魚。
 鯛やヒラメの・・・ではなくて、形は様々ですが、皆「赤い」魚たちです。
 明るい綺麗な赤で、目玉も愛嬌があって、まあ可愛らしいのですけれど、でも何しろ赤い魚(それもたくさん)ですので、見るからに普通の世界ではない景色が広がっています。
 しかも、焼け落ちた寺の縁側?になっていた敷舞台はそのままで、寺の代わりに古ぼけて壁の煤けた建物が乗っています。設定からすると水族館の設備なのだと思います。時代的には昭和でしょうか、コンクリートの壁には水の濾過設備に繋がるらしき、パイプのようなものも見えます。
 舞台中央のセットにより、その情景は幻想的というよりは異様なものとして目に入ります。

♪"19. 暦売りの歌"
 その建物ドアから暦売りが登場します。
 暗い中から、暗い外へ。ドアを開け、手探りで照明のスイッチを探り、ようやく蛍光灯の明かりが点ります。
 第2幕の暦売りは、赤い着物姿で登場します。
 手には抱えているのは風呂敷のような物に包まれた、ちょっと長めの物。三味線?とも見えますが、登場してすぐにドアの脇に置いてしまうので、客席からは良く分かりません。
 敷舞台の中央まで来て「よっこらしょ」と腰を下ろして靴を脱ぐのですが、この靴が何と「藁靴」。
 これは、あの安寿の藁靴?なのでしょうか。そうですよね、、、第1幕の末で意味ありげにそっと置いた、あの藁靴。それを履いて登場してきました。意味深ですねえ、、、どう理解したものか。
 て事は、2幕登場時に持って出てきた風呂敷包みはもしかすると、「杓」かもしれません。

♪"20. 幽霊交差点"
 この曲で何かが展開するというものは特になく、この場の状況を説明しているのだと思います。
 此岸と彼岸、前生と今生と来生が、入り組んでしまっているのでしょうか。

 それにしても2幕の暦売りはお疲れの模様です。
 というか「暦売り」の筈なのですが、暦を売り歩いているのではなくて旅行のチラシ配りのようです。
 「除夜の鐘鳴る大晦日にぃ、正月旅行はどうですかぁ」
 「今なら暦も付いてますぅ」と。
 さすがに大晦日に正月旅行のチラシは、捌けません。疲れて飽きて、魚と戯れようとして、逆に魚におどかされたりしてます。

 舞台欄干にもたれかかり、吐息混じりに呟きます。「約束ごとは、その場の気持ち・・・」何となく、「Vol.11 ウィンターガーデン」での犬の台詞を思い出させます。そう言えばあの時も、犬は誰かを待っていましたね。「誰を待っているのか思い出せないけれど、とにかく待ってる。」
 待つと言えば、「Vol.5 花の色は~」は待つ女と待たない女のお話でした。

 さて、その「約束ごと~」の台詞や、登場時の藁靴などを考慮すると、この場面の暦売りは安寿の転生と見て良いでしょうね。

♪"21. 旅支度なされませ"
 第1幕では庵主=姥竹=安寿だった香坂千晶さんが、水族館の飼育員で登場します。
 世話焼き係という意味では、第2幕もまずは姥竹ですね。
 ウェットスーツにシュノーケル、足ヒレ姿で舞台上をパタパタと大きな音を立てて、元気に歩き回ります。ニッコニコの満面の笑みで、手にしたバケツから魚たちに餌の魚を投げ与えてております。
 こういう風な、天真爛漫の笑顔をした香坂さんはとてもキレイで、生き生きして見えます。(とても私とほぼ同い年などとは見えません。)
 ところがこの飼育員、魚と暦売りの区別が付いておりません。暦売りに餌の魚を差し出しますが、それを拒む暦売り、何故いらないのかが理解できず怪訝な面持ちの飼育員。
 しかもこの飼育員の背負ったボンベ、何と消火器。第1幕の終わりに暦売りの抱えていたあの消火器が、酸素ボンベ代わりになってます。
 非常に混沌としております。

♪"22. 百九番目の除夜の鐘"
 鐘が鳴ると色々と何かが起こりまして、今度は「脱走した花嫁」=土居美佐子さんの登場です。

♪"23. 安らけき寿を捨て"
 「安らけき寿」ですから、これは見ての通り「安寿」です。
 今度はウェディングドレス姿の土居さんが、縁の下に隠れます。
 少し猫背気味にドレスの裾を持ち、不安そうに周囲に目を奔らせる仕草など、逃げ出しておどおどした様子を演じるのがとても巧いですね。
 それでまた、香坂飼育員がこの花嫁を見つけて、何故かまた餌を差し出します。もちろん土居花嫁は顔を背け拒みますが、それが何故か分からない飼育員。やはり彼女には魚に見えているようです。
 逃げて場所を変える花嫁を追い、しまいには「お手」を要求し、仕方なしに応じた花嫁の頭を撫でて、また嬉しそうな笑顔で餌の魚を渡します。
 ユーモラスでトホホな光景ではありますが、実は混沌とした中で案外深い意味を込めていると思われます。

♪"24. 夜をくだされ"
 香坂飼育員が夜を求めます。

♪"25. 有機体は過去を喰らふ"
 暦売りの物憂げな様子から一転、中央建物の壁にある消火栓の扉から、軽妙なステップでコビヤマ左官が飛び出してきます。
 この設定が良く分からなかったのですが、どうやら「左官」=「主典(さかん)」なのですね。
 ※四等官~Wikipedia参照
 関白師実により還俗され元服して正道と名乗る厨子は、丹後の国守に任ぜられます。四等官の「主典」というわけで、いや~時間が掛かったものの、これは綺麗に解けました。
 これで第1幕の「元・画家のホームレス」が余計に気になりますが、、、

 絵筆を鏝(コテ)に持ち替え、その鏝を片手に、軽やかに壁、欄干、階段などを塗りながら、コビヤマ左官(主典)が歌います。
 「過去を喰ろうて 骨を喰ろうて 罪を喰ろうて 生きてゆく」
 軽い曲調ですが、すごく重い内容。今回の夜会で問うている「死んだらそれで"リセット"されるわけじゃない」というメッセージが、この一曲にぶち込まれています。

♪"26. 私の罪は水の底"
 暦売り。
 詩の内容からすると、この段は暦売りではなく、安寿、若しくは母?
 左官が塗ったあとに、ぺたぺたとチラシを貼り付けて歩きます。

♪"27. 有機体は過去を喰らふ"
 再び消火栓扉から、左官歌いながら登場します。
 しかし貼り付けられたチラシを発見。「何だこれは、日付も曜日もない暦!?」
 (誰だこんな事をしたヤツは)「戯け(たわけ)ー!」と怒りますが、その「たわけー!」→「たゎけぇー」→「タケー!」となって、「はぁーいー」と、またにこやかに姥竹が出て参ります。
 今度は暦売りのターン。軽快なステップで「有機体~」を歌います。

 ☆ さてここで判明した「日付も曜日もない暦」ですが、 これは何を意味するか。
 もともと第1幕の暦が正しい暦だったのか、それとも同様に妖しい暦だったのか?
 そもそも日付も曜日もなくて、どうして暦と分かるのか?・・・ん?「暦」って書いてある?
 それはさておき、これは今晩屋が「夜を売る代償に昼をいただきます」と言っていることから、その受け取った昼で暦を埋めてゆく、いわば台紙のようなものではないのかな。つまり、ラジオ体操のアレですよ、ね。たぶん、きっと。

♪"28. らいしょらいしょ"
 左官に召還された姥竹、左官と共に毬つき~、やがて脱走した土居花嫁も加わりバスケットボールに。
 あー、そうか第1幕の鞠つき~バスケットボールは、禿(かむろ)安寿とホームレス厨子王の、1on1だったか。

 遊びに興じる3人、そしてそれを優しく見守る暦売り。
 安寿、厨子王、姥竹、そして母
 生き別れ、死に別れた4人が、時間を遡るように再び出会います。

◇ここから再び記憶不確か
 しかし3人は消火栓の扉から消えてゆく。
 残された暦売り途方に暮れ、消火栓を探るも何も無し。仕方なく去る。

♪"29. 百九番目の除夜の鐘"
 誰もいなくなった水の中で、消火栓のランプが赤く点滅を・・・


さあて、また長くなりましたので、次回につづく、デス。

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